Withailand (ウィザイランド)

AIの世界に足をそっと踏み入れた

Sampling Method:LMSでの独特な現象を克服するヒント

今日はLMSというサンプリングメソッド(サンプラー)についての記事です。

AIを使ってイラストを生成している皆さん、あなたにはお気に入りのサンプリングメソッドはありますか?

私は性能の良いパソコンをまだ持ってないので、Androidスマホでも利用できる画像生成AIサービスを使って画像生成を楽しんでおります。特に利用頻度が多いサービスはPixAI.Art(以後PixAIと表記します。)です。PixAIでは画像を生成する際に、サンプリングメソッドを12種類の中から選ぶ事ができるようになっております。PixAIでは画像を生成する際に、クレジットというPixAIオリジナルの資産を消費する事があるのですが、私はPixAIで画像生成を繰り返すうちに、サンプリングメソッドの種類によって消費するクレジット数が変わることに気が付きました。それについては、以前以下の記事にてご紹介しました。こちら↓

Sampling Method:クレジット消費量ランキング(https://senisthousand.hatenablog.com/entry/ranking_1-12)

上の記事を書くまでは、生成コストが低くて尚且つ安定した画像が生成できるDDIMというサンプリングメソッドをよく使っていたのてすが、Euler aやEulerやLMSも生成にかかるコストは同じであることに気が付き、Euler aやEulerやLMSも使う頻度が増えました。

その中でもLMSは面白い現象がたびたび出てくるので、今回はその現象についてお話しいたします。

LMSでよく起こる現象

LMSで画像生成をしている際に、たびたび目にする現象があります。それは、青やエメラルドグリーンっぽい色合いで、煌めいているような模様が、イラストに残る現象です。貝の螺鈿細工(らでんざいく)のような感じの色合いです。

私はこの現象が出てしまった画像は失敗作と思っているのですが、同時にLMSらしい感じだなと思うようになりました。下の画像をご覧ください。

4枚の画像は全てPixAIで作成したものです。サンプリングメソッドはLMSにしました。それぞれの画像の赤丸で括った部分にご注目ください。この感じのキラキラが、LMSでの生成時によく発生する現象です。

勝手に命名しちゃおう

PixAIでのLMSは、画像が生成されるスピードも早い気がしますし、画像も汚くないですし、生成コストも低い方なので、結構好きなサンプリングメソッドなのですが、このキラキラだけはウィークポイントだと思います。でも、ウィークポイントなのにキラキラしているのが憎めないところです。憎めないヤツなので、私はこの現象に親しみを込めて名前をつけることにしました。

その名も、『螺鈿ノイズ』です。

螺鈿はらでんと読みます。螺鈿とは、貝の殻の内側のキラキラしている部分を切り取って、研磨したり形を整えて漆器などにはめ込む装飾です。下の写真みたいな貝殻の裏側のような感じのキラキラです。

(出典:写真AC)

その螺鈿の輝きとLMSのキラキラしたウィークポイントが、光り方や色合いがなんだか似ているので螺鈿ノイズと命名しました。この呼び方が広まるといいな。

Sampling Stepsやモデルとの関係

螺鈿ノイズはSampling Steps(以後、サンプリングステップと記載します。)を調節したりモデルを変更したりすることで発生を抑えられる場合があります。

比較用にPixAIで画像をいくつか作りました。細かい条件は以下の通りです。

・Sampling Method : LMS

・CFG Scale : 7.0

・プロンプト : (an old man:1.2), oni, red skin, black hair, (tight curly perm:1.1), very short hair, there is two horns on his head, straight horns, [angry], fang, rude attitude

・ネガティブプロンプト : worst quality, large head, low quality, extra digits, bad eye,  EasyNegativeV2, ng_deepnegative_V1_75t

上の条件でSampling Stepsを変えて生成してみました。

モデル『Anything V5』の場合

Sampling Stepsが10のときは、腋や前歯や胸毛のあたりに螺鈿ノイズが出ております。20のときは、腋や肩や髪や角の根元あたりに螺鈿ノイズがでております。30のときは、もうほとんど螺鈿ノイズは見当たりませんが、よく目を凝らすと右肩付近の壁や左耳の下あたりの髪の毛に少しだけ青っぽく光るものが見つかりました。40にすると、螺鈿ノイズは全く見当たりませんでした。

モデル『Hassaku』の場合

Hassakuの場合は、Sampling Stepsを40まで上げても螺鈿ノイズが発生しております。そして、特に20や30のときは多く螺鈿ノイズが発生しております。ちなみに、下の画像はSampling Stepsを最大値の50まで上げてみたときのものですが、角の根元や髪の毛や首元に螺鈿ノイズが出ております。

モデル『magicMIX realistic』の場合

magicMIX realisticでは10,20,30では螺鈿ノイズが目立つ結果になりました。40でだいぶ減りましたが、頬骨のあたりに発生しております。

モデル『PixAI Real V4.0』の場合

これは興味深い結果になりました。Sampling Stepsを10にしても20でも30でも40でも、全く螺鈿ノイズが発生しませんでした。PixAI Real V4はLMSとの相性が良さそうです。

まとめ

実験結果をまとめました。

  • LMSというサンプリングメソッド(サンプラー)を使用して画像生成すると、度々螺鈿ノイズが発生する。
  • ベースとなるモデルによって、螺鈿ノイズの発生具合は大きく異なってくる。
  • 螺鈿ノイズが発生してしまうモデルでもSampling Stepsの値を40以上にすると、発生を抑えることができるものもある。
  • Sampling Stepsを10程度で生成すると、荒っぽくて意図した画像は生まれにくい。

総評

どうやらLMSは、モデルとの相性が結構あるようです。今回はPixAIのプリセットに入っているモデルの中からリアル系2種類とアニメ系2種類の計4種類を使って実験してみました。その結果、アニメ系モデルのAnything V5とは相性が良いようで、螺鈿ノイズをSampling Stepsでコントロールすることができました。しかしながら、同じアニメ系のHassakuとは相性が悪いようで、Sampling Stepsを最大値の50まで上げても螺鈿ノイズの発生を抑えることがてきませんでした。リアル系ではmagicMIX railisticとは相性が悪いようでしたが、PixAI Real V4とはめちゃくちゃ相性が良いようです。

それなので、LMSで画像を生成した際、青っぽくキラキラと光る模様が出てしまってがっかりした場合は、Sampling Stepsの回数を増やしたり、思い切って違うモデルに変更してみると、ばっちりと解決する可能性がありそうです。

今回のお話しはこれで終了です。螺鈿ノイズの発生した少し芸術的な画像を楽しむのも良し。螺鈿ノイズを抑える調整をしてまともな画像を生成するも良し。ぜひ皆様も一度、このマクドナルドのポテトのサイズみたいな名前のサンプリングメソッドを使って画像生成を楽しんでみてはいかがでしょうか。

更新履歴

  • 2024年3月27日:DDIMの綴りの間違いを修正
  • 2024年4月19日:記事の概要を追加